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百武彗星(9) 百武彗星がもたらしたもの 平成27年8月9日
昨年の暮れ、四国天文協会香川県支部の例会が中村博支部長さん宅で開かれ、20年前に撮影した「うしかい座に 広がる大きな彗星」の写真を見せていただきました。
え!こんなに長い尾を持った彗星。 それが百武彗星でした。
彗星は、大きな星座を横切りさらに尾が長く伸びています。
矢印がその 長さをイメージしています。
この年アイソン彗星が話題になり写真撮影に一生懸命になっていた私は、「百武彗星がこんなに大きな彗星だった とは」ほんとうに驚きでした。
先日、百武彗星の連載にあたり、当時の様子をうかがいに中村さんのご自宅を訪問しました。
1 憧れ
中村さんは中学生の頃、ベネット彗星(1970年)を見て、その素晴らしさに驚愕され、彗星や天体写真に憧れる ようになったそうです。
その後、本格的に天体写真に取り組まれるようになりました。
今年、藤井旭さんから中村さんへ、資料のお礼として出されたベネット彗星の絵葉書
当時はフィルムの時代、低感度のフィルムでいかに淡い天体を写しだすかいろいろ工夫をされて大変だったとお話をされ ていました。
先日、自宅を訪問したときにも、当時使用されていた貴重なフィルムや1996年に撮影した百武彗星のネガを見せて いただきました。
自宅にも暗室があり白黒からカラーまでご自身で現像されていたようです。
中学時代の夢は進み、仲間の方と自宅近くに観測所(天文台)を作り本格的に観測や撮影を続けられて います。
2 百武彗星との出会い
天体写真を始めてからは、彗星が出現したという情報が入ると、その動向を継続して撮影されてきたそうです。
長年の大切な記録を見せていただきました。
20年前(1996年)に現れた百武彗星も当時の撮影や観測の記録を大切に残されています。
記録には、「25日の夜1996B2が地球最接近 光度0等級 尾は約45°程も延びていた。 濃い部分は約 30°」と書かれています。
合わせてスケッチもされています。
北斗七星を横切る彗星、その大きさが分かりますね。
最初は、こんなに大彗星になるとは思わなかったそうです。
夜空に長い尾が大きく伸びていたと話されていました。
3 忘れられない思い出
中村さんは、ご自身の天体観測だけでなく、早くから観望会や天文教室を開き皆さんに星空を見る楽しさや 素晴らしさを伝えられてきました。
中学生の頃に素敵な彗星の写真を見て芽生えた憧れや夢、そしてさらなる夢の実現のために大変な努力されて います。
長い年月の中で何がこうした思いを繋いでくれたのでしょうか。
これまで、多くの印象に残る彗星に出会われたようです。
中でも、百武彗星は大切な思い出になっているそうです。
百武彗星のように一生に何度も見ることができない大彗星に出会った時の感激が、更なる思いを募らせるのではと 実感しました。
百武さんが発見した彗星は、たくさんの人に素敵な贈り物をしたようです。
お礼
中村支部長さんには、いろいろなお話を聞かせていただきました。
貴重な資料を提供していただくなどお忙しい中ご協力いただきありがとうございます。
連載 星空に夢を求めて「百武彗星」
過去の連載記事は、こちらからご覧いただけます。
日々の日記 四季の高松
四季折々の身近なスケッチを日記風に記載しています