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  • 星空に夢を求めて(百武彗星5)吉川善久さんからの寄稿@ 平成27年6月30日


    今回は、百武裕司さんと旧知の間柄だった、ヨシカワ光器研究所代表吉川善久さんに百武さんを今回と次回と、 2回にわたって語っていただきます。


    吉川様には、寄稿文を紙面の都合で2回に分けて掲載させていただきます ことを深くお詫びいたします。



    1 出会い


    (1)故百武裕司氏と知り合ったのは、私が福岡県での社会人時代であったが、その後、私は転職のため1987年 7月に役所を退職、郷里の熊本県で同年の9月から現業に着手していった。


    (2)氏がその7年後の1994年、福岡県から鹿児島県に転居後の間もなく、当時の姶良郡牧園町にあった上田 観測所を天文活動のホームグランドとするようになってからは、氏と度々の接触が始まった。


    (3)氏との接触ばなしから、上田観測所の上田聡氏と他のメンバーの方々は、新しいメンバーの氏を温かく 迎えられていた。


    2 氏の意気込みの再燃


    (1)かつて氏が住んでいた福岡市東区の千早よりも、その後に氏が転居した、当時の姶良郡隼人町かいわい のほうが空の状態は遥かに優れていた。

    私も福岡時代は、その千早から目と鼻の先の所に官舎住まいをしていて近辺の状況は知っていたので、それは確かで ある。


    (2)しかし、加えて、氏の身近となった上田氏が、見る、見せる、撮る、撮らせる、機械を使いこなす、使いこ なさせるという活動にはひたすらな実戦主義をもって、周囲に深い影響を与えておられたという事実も、氏を語るうえで 忘れてはならない。


    (3)私は私なりに、趣味世界でも、その取り組む姿勢を実行して単に終るを実践と呼び、必死となり実行に徹し続ける を実戦と呼んでいる。


    (4)氏はこの頃から、掃索に取り組む実戦姿勢というものを更に強く噛みしめて、その意気込みを再燃させた。


    3 真の幸運とは実戦から持たされた賜物にあり


    (1)日々掃索活動の氏に、労いの意味で

     「いつもきつかろ」

    と尋ねたことがあった。

    答えは、

     「タバコと同じ中毒症状!」

    と返ってきた。


    (2)それは、氏が一方で好んでいた喫煙に準えた短い言葉であったが、視野に魅せられてひたすらに覗き続ける のだという、

     まさに、〈膏肓(こうこう)に入りし〉

    の症状だった。


    (3)これが、氏を、微かな光点をも見逃さないという優れた目視力と鋭敏な注意力の持主へと練り上げて いったのである。

     『真の幸運とはここにあり!!』


    (4)皆様もご高承のとおり、ここに言う目視力とは、視力の単なる良し悪しではない。

    因に、氏は、自分がひどい乱視であることも話していたし、又、視力が0.3にも満たない近視だった。


    4 氏の目視力について具体的出来事を二つご紹介


    (1)氏が彗星発見前のはなしである。

    私の作業場を訪ねてきた氏に、光学テスターを覗いてもらった時のこと。

    普通はあまり縁がない、と言うので参考までにと軽い気持ちで覗いてもらったのに、結果は意外。

    特に、ナイフエッヂテストでの結果を左右するのは、先ず、ナイフ移動に伴って変化していく微細な明暗と その形をしっかり掴むところにある。

    これには、専念の日々が必要。

    ところが氏は、無にも等しいような部分の極微な明暗模様までも捕えて、かれこれと質問責めをした。

    この分野では初心の筈なのに・・・・と驚いたので、この時の状況は今でも覚えている。


    (2)氏が彗星発見後の話である。

    私が学校向けのHα線フィルター内蔵の太陽望遠鏡を試作して、それを氏をはじめとする天文関係筋の方々に試験 使用してもらった時の事。

        


        


     中央に向かって左は故百武氏


    使用後に話題のひとつとなったのはその見え味について。

    単色像のあまりにも微かな模様であるが故に、他の方々が気付かれていなかったのは当然といえば当然。

    しかし氏は、これも見えた、あれも見えた、とさりげない説明で他を驚かせた。

    参列していた私にとっては、試作機の事だったので、この時の状況を覚えているが、氏の図抜けた目視力を また垣間見た試用会であった。

        

    次号に続きます。



    次号では、吉川さんに「百武氏の掃索活動を置き換えると、あたかも!」、 「百武氏のあくなき実戦活動」などについて語っていただきます。



     

     連載 星空に夢を求めて「百武彗星」


    過去の連載記事は、こちらからご覧いただけます。


    星空に夢を求めて(百武彗星9)百武彗星がもたらしたもの

    星空に夢を求めて(百武彗星8)藤川繁久氏の寄稿文

    星空に夢を求めて(百武彗星7)彗星掃索家藤川繁久氏

    星空に夢を求めて(百武彗星6)吉川善久氏の寄稿文A

    星空に夢を求めて(百武彗星5)吉川善久氏の寄稿文@

    星空に夢を求めて(百武彗星4)上田聡氏の寄稿文

    星空に夢を求めて(百武彗星3)天体望遠鏡博物館

    星空に夢を求めて(百武彗星2)歴史に残る大彗星

    星空に夢を求めて(百武彗星1)プロローグ

     

    日々の日記 四季の高松


    四季折々の身近なスケッチを日記風に記載しています


        

    四季の高松

     

     

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